マシュマロ実験と教育
マシュマロ実験とは、1960年代後半から米国大学で行われた教育実験です。幼稚園児にマシュマロを2つ渡して、1つを食べてもらいます。もう1つを手に残し、「先生が帰ってくるまで待っていてくれたら、さらにもう1つマシュマロをあげますよ。」といって先生が教室から出て行きます。すぐに食べてしまう子供から、最後まで待つことができる子供もいますが、この「待ち時間」が、幼稚園児の大学進学時のスコアに比例したことで注目されました。
すぐに食べてしまった子供の学力が低く、最後まで待つことができた子供は、トップクラスの成績に達していました。ここから学習能力とは、IQより「忍耐力」なのではないかという仮説が作られました。この仮説を受けて、非常に高いIQを持っている子供たちも調査されていますが、忍耐力が低いと、親が強制している期間には高いスコアをあげるものの、自由度の高い高校・大学に進学すると、のきなみ学力を低下させてしまうことが分かっています。
忍耐力は、誰でも経験するように伸びていきます。最近の研究では、高校時代にIQが上昇することも理解されています。教育の最終的な狙いは、先人の残した業績を利用しながら、自分自身で学んでいく能力を身につけることです。欧州をはじめとして積極的に取り入れられているのは、早期の専門教育です。多くのことを経験させ、向き不向きを感じながら、自分の方向性を探っていきます。この点において、日本は残念ながら後進国と言わざるを得ないかもしれません。